捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
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10月の3週目ともあってだいぶ風は冷たくなってきたけど、降り注ぐ日差しはぽかぽかしていて温かい。
私と三浦さんが歩くのは、ホテルの横に併設されている緑いっぱいのガーデン。
ガーデンの奥にはチャペルがあり、そのステンドグラスに太陽の光が当たって色鮮やかにキラキラと輝いている。
三浦さんは私の歩調に合わせてくれているのか、ゆっくりゆっくりと歩いてくれている。
そんな気遣いのできる三浦さんに、私は感心するばかりだ。
会話はないのに重苦しくない空気も何だか心地いい。
「……疲れましたね?」
「えっ!?」
突然くるりと振り返って話し掛けてきた三浦さんに、私は驚いてしまう。
それに対して三浦さんはくすりと笑った。
「……また驚いた」
「あ……す、すみません」
「いえ、謝らなくてもいいですよ。面白がっているだけですから」
「!……三浦さんってちょっと意地悪ですね」
「そうですか?そんなことないと思いますけど……でも、解放された気がして気分がいいのかもしれませんね」
「……」
吹いてきた風を気持ち良さそうに浴びながら、三浦さんは背伸びをして、すーっと空気を吸い込んだ。
……さっきから気になっていた三浦さんの言葉。
外に出たかったとか、疲れたとか、解放されたとか。
私も思っていたことだとは言え、さすがに言葉に出すのは失礼だと思って、言わなかった。
……もしかしたら、三浦さんはお見合いに乗り気じゃなかったのかもしれない。
上司から言われたことで断れなかったとか、そういうパターンなのかもと思ってしまう。
だから、わざとそういう否定的な言葉を言ってくるんだ。
だとすれば……きっともう、三浦さんと話すことができるのはこれっきりだ。
食事の話だったとは言え、思っていた以上に話が盛り上がった気がしていたから、ちょっとだけ残念だなと思ってしまう。
でも、きっとそういうものなんだ。
結局は自分は盛り上がったつもりでも相手は盛り上がっていなかった、なんてよくあることだし。
やっぱり、きっと今から断られて、終わるんだ。
絶対そう。