捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「横山さん」
「っ、はい」
「悩ませてしまってますよね。すみません」
「あ、いえ……私こそ……すみません」
どうもさっきから“すみません”の言い合いが私と三浦さんとの間で起こってしまう。
三浦さんは本当に気遣いの人だと思う。
こんな優柔不断で何も答えられない私に気を掛けてくれるとか。
気を使わせてしまう私とは正反対だ。
「……そうですね。横山さんがどう捕らえるかはわかりませんが……俺の話をしてもいいですか?」
「……は、はい」
「俺がここにいる理由をお話しします。呆れられるかもしれないですけど、それは賭けてみます」
三浦さんはふと穏やかに笑った後、目線をガーデンに移す。
「ここ数年、彼女もいなかったし、もう恋愛はいらないかなと思ったんです。そこそこ恋愛はしてきましたけど……それで得られるものがあったわけでもなくて。むしろ、ちゃんと“俺”を見てくれる女はいなかった気がするし、ただ空しいだけだった。それならもう、何もなくても結婚してもいいかなと」
「……だから、お見合いで結婚してしまおうと?」
「……お見合いなら、見た目とか、性格とか、何となく合いさえすれば関係ないでしょう?そこにあるのは“結婚”っていうただの契約だけで。それに、信頼してる上司から紹介されたお見合いなら、よほどのことがない限り、人としてちゃんとしてる人だろうって。実際に横山さんに会ってみて、間違いなくちゃんとしてる人だと思いましたし。たとえドキドキすることがなくても、一緒に生活して、子供を作って、“家族”ができてそれなりに幸せであればそれでいいと。それに、妹が結婚してからは周りもうるさかったし。……すみません、後ろ向きな理由で」
「……いえ」
三浦さんに何があったのかはわからないけど、言ってる意味はすごくわかる気がした。
……私は恋愛経験は少ないけど、考え方は私と重なる部分も結構ありそうだ。