捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

そっと受け取り、中を見てみると。

そこに見えたのは洗剤を始め、日用品のセットだった。


「あっ」

「突然押し掛けるのも悪いかなと思ったんですけど、早い方がいいかなと思いまして」

「このためにわざわざ来てくれたんですか!?ありがとうございます!もうすぐ洗剤がなくなりそうだったので助かります!買わなくて良かった~!」

「ほんとですか?それはタイミングばっちりでしたね」


ふわっと嬉しそうな笑顔を浮かべるスーツ姿の惣介さん。

お見合いの日とは違って、少し違う雰囲気のスーツ姿で、それにまたドキドキしてしまう。


「でーも」

「え?」

「何で言ってくれなかったんですか?」

「え?」

「なくなりそうだと言ってくれれば、もっと早く持ってきたのに」

「!いや、えっと……それはさすがに厚かましいかな、と」


そんなパシりみたいなことはさせられないし、買ってきてもらう立場なのに急かすのも悪いと思ったんだ。

はぁ、と惣介さんのため息が耳に入ってきた。

 
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