航平さんと雨芽ちゃん


「あっ、雨芽!
ごめんな、わざわざ持ってこさせて。
迷わなかったか??」
「うん、大丈夫。
はい、書類。」
エレベーターの扉が開いて、ゆっくり出てきた雨芽にそう聞くと、いつもの明るさは何処へやら…冷静に書類を取り出して渡された。


「ありがとな。
助かった。
ゆっくりお礼したいとこだけど、時間なくて…今度埋め合わせするな。」
「うん…大丈夫。」
「雨芽、大丈夫か?
さっきから顔真っ青だぞ。」
お礼を言って、『時間がないので埋め合わせは今度』と伝えるとさっきと同じような言葉が返ってきた。

そんな雨芽を不審に思い、下を向いてる顔を覗き込んでみると、顔が本当に真っ青だったので聞いてみた。


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