恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~

負けん気が強くて、どんな時でも涙を見せたことなんてなかった。


だからこそ、今日の負けが佑真にとってどれだけ大きなものだったのか痛いほど分かって。


ここでどんな思いで涙を流していたのかと思うと、もう胸が張り裂けそうだった。




「どうしても……行きたかった……」



……うん。


行きたかったよね。



"甲子園"



そのために、今まで沢山の時間を費やし、数えきれないほどの汗を流してきたんだから。



「……けど…俺にはまだ早かったんだろうな……」


「…そんなこと……」



――ない。


誰よりも努力して来た佑真なんだから。



でもそんな言葉、容易く掛けちゃいけないように思えた。
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