恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
エビ君は、優しくあたしの肩に手を置いた。
「部員が問題を起こしたわけじゃない。だから…甲子園は……大丈夫だ」
少し震えたその声は、それが本音じゃないことを証明していた。
…エビ君だって分かってるんだよ。このことが公になったら、野球部の甲子園行きがなくなるってことが。
西川先生が野球部を離れて済む問題じゃないことくらいあたしだって分かる。
「……甲子園へ行くことは、あたしにとって今の一番の夢なの」
こんな目にあっても、それが大きな希望に思えるくらい。
だから、あんなことすぐにきっと忘れられる……。
エビ君はしばらく何かを考えていたけど、首を横に振った。