恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~

「……やっぱり駄目だ。いくらそれが増田さんの夢でも、卑劣な副顧問を抱えた野球部が甲子園へ行くことなんて許されない」


「お願い!」


「駄目だ」


エビ君の口調は怖いくらい固かった。


「まだ次の夏もある。俺達ならきっと――」


「佑真の夢なのっ!!」


「……ッ」


目を見開くエビ君。



佑真の夢を、あたしが取り上げるなんて出来ない――


「……お願いします……エビ君…」


あたしは懇願するように深く頭をさげた。


「どうしても……どうしても……佑真は甲子園に行かなきゃいけないのっ……」


次の夏じゃ、ダメなんだよ……。
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