恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
――それから何分経っただろう。
あたし達の間には、もう暗黙のうちにこのことを闇に葬る準備が出来ていた。
「エビ君も……今日のことは忘れてね?聞かなかったことにして……」
きっとエビ君にはあたしの想いは通じた。
そう信じて。
まさか西川先生が自ら罪を告白するわけないし、あたしが黙っていれば何もなかったことになるんだから。
「忘れることも聞かなかったことにも出来ない。とりあえずは……増田さんの意思を尊重して甲子園が終わるまでだ。
それが終わったら、きちんと考えよう」
エビ君はキッパリ言い切った。