恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~

2年生にもピッチャーは居るけど、3年のピッチャーは、瀬戸君一人…


佑真がいなくなって、瀬戸君が背負い込んだものの重さは測りきれない。


いつだって、どこか苦しそうに球を投げ込んでいる。


限界を知ろうと自分を追い込む姿には、時折目を背けたくなる。


『夏までには…必ず…』


自分の言葉を守ろうとするあまり、焦りさえ見えて、

このままだったら夏を迎える前に瀬戸君は壊れちゃうんじゃないかって思うほど……



「でもさ、本当はそんなことじゃないんだよ」


顔の緊張を解いたさくら。


「みんな甲子園甲子園って言うけどさ。野球なんて、楽しんだもの勝ちだと思わない?そして、結果として甲子園がついてきたら万々歳。…ごめん、ド素人発言…」


そう言ってハニカミながら睫毛を伏せた。



それでも、"あたしはそう思うんだ…"小さくつぶやいたさくらに、心が揺さぶられた。
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