恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
誰にもなにも聞かれなかった。
でもずぶ濡れのあたしを連れてきたりして…ある程度の事情は話してるはず。
濡れた制服は、ハンガーにかけて干されていた。
そっと佑真の横顔を覗くと、表情も変えずにうどんをすすっている。
家族の前で、さっきはどうの…なんてことも口にしにくい。
本音も聞けたことだし、あたしも何も触れなかった。
ちょうど食事が終わったころ、お父さんが迎えに来てくれて。
「ありがとうございました」
結局、佑真と話をすることはなく、家を後にした。