水のない水槽
そもそも、こんな真夏日の真っ昼間に、待ち合わせするコト自体がいけないんだよ。


未だ、姿の見えない相手に向かって、心の中でブツブツと文句を呟く。


額には大粒の、そして沢山の汗。


ホント、帰っちゃおうかなぁ……。


踵を返しかけたその時、通りの向こうから、駆け寄ってくるまどかの声が聞こえてきた。


「朔~、ごめんね~、待ったぁ?」

「遅いっっっ!!!」

「ホンット、ごめんねぇ。お母さんに捕まっちゃって…」
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