水のない水槽
――ホント、あっついんですけど……。


当初の待ち合わせ時間から30分、この場所を指定した本人は、一向に姿を見せる様子がない。


頭上には雲ひとつない青空が広がり、朔乃の髪を真夏の太陽が照らしつけている。


あと10分待っても来なかったら、絶対、帰ろう。


この間のバイト代で買ったばかりの真っ白な腕時計を睨み付けながら、わたしはそう決心した。
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