彼は私を狂愛した。

「...なんで」



「ん?」



「なんでこんなことするの...?私が知ってる慧兒はこんな慧兒じゃないよ...」



こんなこと言って何されるか分からない。



だけど...



これが私の本音だから。




すると慧兒は少し時間を置いたあと


ゆっくりと口を開いた。



「....うん、ごめん。自分でも分かってる...」




「え...?」




慧兒からそんな言葉が聞けるなんて思ってもいなかった。



きっとまた殴られるんだろうな....ってことしか思わなくて。




「俺、おかしいくらい魅音が好きなんだ。だから誰にも触らせたくない」



そう言って慧兒は私を抱き寄せる。



そして私の首元に優しくキスをした。



「...慧兒」



私、なんで嫌って言えないんだろう。



...後藤くんをあんな酷い目に合わせたのに



今は慧兒のことを抱きしめてしまうなんて



私、どうかしてるのかな...
< 134 / 235 >

この作品をシェア

pagetop