ヒールの折れたシンデレラ
***

それからの千鶴は出社こそはしてきているものの、完全に勇矢の補佐の仕事のみをこなしていた。

人の噂が回るのは早く、いつも近くにいた千鶴と宗治が一緒にいないことを、色々かんぐって根も葉もない噂が渦巻いていた。

しかしそれに伴い、嫌がらせがなくなったのは救いだった。

時間をとって宗治と話をしたいと思っていたけれど、もともと忙しい宗治が時間を意図的に作ってくれないと、千鶴には弁明のチャンスすらなかった。

日に日に沈んでいく様子の千鶴を理乃が心配してランチや飲みに誘ってはくれていたが到底そんな気分になれるわけもなく、千鶴の毎日はただ時間がするすると流れていくだけだった。

ふとした瞬間に耳もとで宗治の「千鶴……」と呼ぶ声が聞こえる気がする。

(私ってば重症―――)

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