ヒールの折れたシンデレラ
＊＊＊

「いったい、どういうことなんだ？」

千鶴が部屋を出ていった後、勇矢が尋ねる。

何も言わない宗治。

「何があった？いや、何かあったにしても私情を仕事に持ち込むなよ」

「最初にそうしたのは向こうだ」

軟化しない冷たい態度に勇矢はため息をつく。

「お前自分のやってることがどれだけ瀬川さんを傷つけているのかわかてるのか？」

責めるような勇矢の言葉に宗治が反応する。

「わかってる、わかってるさ。だけどそれ以上に一緒にいるともっと彼女を傷つけてしまいそうなんだ」

今まで冷静だった宗治が書類を投げ出し、整えてある髪をかきむしり頭を抱える。

親友の今まで見たこともないような態度に勇矢は驚く。

「俺だって、どうするのが一番いいのかわからないんだ」

頭を抱える宗治の切ない声が部屋に響く。

「二人のことだから二人にしかわからないだろう。だけどお前はこれでいいのか？このままだと……」

「わかってる！わかってるからそれ以上は言わないでくれ」

憔悴しきった宗治を見て勇矢はそれ以上何も言えなかった。
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