ノーチェ


店内に流れるジャズとアルコールが体を流れ込んでゆく。

心地よい瞬間。



やっぱり、アクアは落ち着くな。

なんて思いながら店内を見渡した。



そんな時

「莉伊ぃ、」と甘えた声を出した菜月があたしに寄り掛かる。



「何、どーしたの?」

ふわりと鼻をかすめる菜月の香水。

菜月は色んな香水をつけるけど、その中でもこの香りがあたしは一番好きかもしれない。


甘くて、女の子らしい菜月によく似合う。



あたしの肩に頭を預けた菜月は

「…ありがとね、莉伊。」

ポツリと呟いた。



「何、急に。やっぱ菜月酔ってるでしょ!」

「んもー、酔っ払ってなんかないしぃ!」

膨れっ面で顔を上げた菜月はあたしに視線を向けて小さく頭を下げた。



「……菜月?」



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