ノーチェ

…塞いだ、瞳



………………


カーテンの隙間から漏れる日差しが、あたしの虚ろな瞳に映る。


あれから2日。



塞ぎ込むように部屋に閉じこもったあたしは
重い体をベッドから起こして水を飲みに台所へと向かった。


昨日もその前も
仕事には行っていない。



涙だけが一日を塗り潰して、とてもじゃないけれど仕事をする気がしなかった。

これじゃいけない。



わかってはいるのに
笑う事さえ、今は上手く出来そうになくて。


花屋という職業は
花と一緒に、笑顔を売る仕事だ。

今のあたしに、笑う事は到底出来やしない。



もう、このまま
あたしなんか消えてしまえばいいのに。


……なんて。




百合子さんを思えば
そんな事考えちゃいけないのに

もう、生きる光すら見つけられない。



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