人間狩り【編集中】




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 彼女は、命からがら老爺のところから逃げ出した。老爺は、今頃燃え盛る家の中で業火に包まれているだろう。


 彼女の煤だらけの身なりは、幽霊のようだった。般若のような形相、彼女の燃え盛るような復讐心の宿る瞳。



 人ではない、超常の存在になろう。


 苦しみを、死を、知らしめてやろう。



 しかし、そう上手く行くはずがなかった。



 雑木林を抜け、夜の街に辿り着く。穢れた彼女を、通りかかる人たちは恐れた。気持ちが悪いと、蔑んだ。



 彼女は一旦引き返し、淀んでいる川で汚れを洗い落とす。すると、美しい自分が水面に写り、月明かりが彼女を照らした。穢されてもなお、彼女は美しかった。



 そうして、彼女は夜の街に繰り出し、ふしだらな行為で、貯蓄した。もう、家には帰れない。だからこそ、金が必要だった。


 体を使って貯めた金は、全て、復讐するために使った。 


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