愛し君へ、愛をこめて

いきなりの出来事に、白いタキシードを着た男性は目をぱちくりさせた。


「つうっ…、おいゴルァてめ阿呆ッ!へったくそかコンニャロウッ!」

「にゃーん」

「『にゃーん』やないわッ!脳天潰したろかッ!」

「にぃ?」

「ウッザ!かわいないし!」


白猫相手にぎゃん騒ぎする青年に、この子は大丈夫なのだろうかとタキシードの男性は怪訝な顔をする。

もしや、今の落下の衝撃で、大事なところ(脳みそ)が抜けた?


オロオロしながら様子を見ていればふと、騒いでいた青年がこちらに視線を移した。


「…なんや兄ちゃん。僕ン顔になんかついとります?」

「えっ。あ、いや…。脳みそ抜けてない?」

「はッ?!」


いきなり何だと声を張り上げる青年。

もっともな主張だが、怪しまれるのも無理はない。
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