愛し君へ、愛をこめて


「あはは、ごめんごめん。…でも、23も十分若いよ。その年で疲労が溜まっちゃあ、この先大変だよ?」

「せやけどうちのアホがなぁ…」


あの阿呆悪魔。
いつの間にかいなくなっているのだが、離れていても怒りが込み上げてくる。

というか、自分たちは離れていてはいけないのに。
どうして勝手にフラつくのだ。

「あの阿呆」
チッと舌打ちする鶴嫁怪(つるかけ)の表情が怖い。

すると隣で見守っていた男性が、ぽんと鶴嫁怪の肩を叩いた。


「はい、スマイルスマーイル。笑ってないと、人生損だよ?」

「人生損って、ンな大袈裟な」

「いやいや、十分大きなことさ。…笑えば人は幸せになる。だから、手を繋いでずっと笑顔でいよう。そうすれば周りの人も幸せになれるから」

「……。」


にっこりと微笑む男性に、鶴嫁怪は言葉が出なかった。
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