真っ直ぐ
「山崎くんが、告白したって本当?」
高三の十一月。
クラス中で広まった噂。
不安げに川崎が聞いてくる。
「ごめん。何も教えてくれねぇんだ」
そう言うと、川崎はお礼を言って去る。
…嘘は言ってない。
晃彦は本当に何も話してくれない。
けど俺は、噂が間違ってることは分かってる。
『山崎くんって彼女いますか?』
噂の流れる少し前、松阪さんに聞かれた。
だから本当は逆なんだ。
ごめんね、川崎。
自分が汚いってことは百も承知で。
どうしても俺を見てほしかったんだ。