【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
……はぁ〜あ。
隼人のいない部屋は一人でいるには広くって。
更に寂しくなってきた私は、もらった鉢植えを手にとり大事に抱え込んだ。
嬉しいな。
隼人……好き、大好きだよ。
早く戻ってこないかな?
寂しさに耐えれず、顔を上げて部屋を見渡した時だった。
何か違和感を感じた。
何だろう?
その違和感が何なのかも分からず頭を抱えていたら、ドアの開く音が聞こえてきた。
隼人、戻ってきた〜!
だけど、嬉しくて飛び付きたい思いで見つめた隼人は、とても申し訳なさそうな顔をしていた。
「悪い。仕事トラブったみたいで、今から会社戻らないといけなくなった……」
さらに切なそうな顔つきで、
「せっかく凪咲と会うために仕事早めに切り上げたのに」
って呟いている隼人を見ていたら文句の一つも言う気になれなくて。
仕方ないよね、仕事だし。
「うん、分かった!」
私はもらった袋に花の鉢植えを入れて、隼人は再びスーツに着替えて二人で家を出ていった。