【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
「ありがと。嬉しい……」
突然のプレゼント。
大好きな隼人から贈られた花。
私は例えようのない喜びを感じていた。
言葉では言い表わせないくらい、私……隼人のこと好きだよ。
さらにギュッと抱き締めて、静かに目を閉じる。
そして、どれくらいの時間そうしていたか分からないぐらい、ずっと抱き合っていた。
隼人の体にピッタリとくっついて、静かな時間の流れを感じて思うのは、
ずっと隼人の傍にいたいってこと。
「凪咲……」
沈黙を破り、隼人が言葉を発した瞬間だった。
プルルルル……。
隼人の携帯が鳴りだした。
ピッタリとくっついていた体が離れて、二人の間を擦り抜ける風が切なさを増す。
携帯を開いた隼人は顔をしかめると、
「悪い、ちょっと待ってて」
そう言って部屋を出ていってしまった。