Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 ましてや今日は、午後の授業の5限目に体育があり、その次の6限目の日本史なので、「寝るな」という方が無理な話なのかもしれない。緑の木々をざわめかせる爽やかな風が、心地よいのでなおさらだ。


「ねーねー、先生って何歳?」


 藪から棒な質問をしてきたのは、先ほどの宇佐美。毎年、聞きあきるほど生徒からされる質問だ。


 この質問が飛び出した瞬間、生徒たちの気だるい雰囲気が一変し、みのりに注目が集まった。


「ふふん、何歳だと思う?」


みのりが逆に訊いてみると、「56歳!」と、誰かが即答した。これは冗談だと分かるので、にっこり笑って流すことにする。


「40歳!」


他の男子生徒が口を開く。


「えっ!?私そんなに老けて見えてるの……??」


 ショックを受けたみのりが、胸に手を当てて顔をしかめると、優しい女子生徒が、フォローしてくれる。


「そんなことないよ、先生。25歳くらい?」


 今度は、随分若く見られたものだ……。


「うーん、さっきより近いけど……。ヒントをあげると、3年前にもこの学校で教えてたのよ。その時はもう25歳を超えてた。」




< 23 / 743 >

この作品をシェア

pagetop