Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
――……う……。か、かわいい……!
みのりが思わず、その笑顔に見とれていると、遼太郎は側にいる二俣をつついて、みのりを指さす。
二俣も泥だらけの顔を上げたので、みのりは手を振って合図した。
「あれ、先生!!来てたの?始まるときにいなかったから、てっきり来ないのかと思ってた!」
二俣は観客席に向かって、大声を張り上げた。
――自分で〝来い〟と言っておいて、何を言ってるの?
と、みのりは面喰ってしまう。
「午前中に用事があるから遅くなるけど来るって、メールが来ただろう?」
遼太郎が二俣を再びつついた。
「えっ?先生からメール?俺のところには来てないぜ。何で遼ちゃんにだけメールが来るんだよ!」
二俣は口を尖らせて、みのりと遼太郎を代わる代わる見ている。
「先生にメール送ったのか?送らないと来るわけないんだぞ。」
「あっ……!」
二俣はペロッと舌を出した。メールアドレスを知りたがった割には、メールが来ないので『おかしいな』と思っていたが、
――どうせ、そんなことだろうと思ったよ……。
と、みのりはため息をついたが、すぐに笑い顔になった。この二俣は、こんなところがとてもお茶目で憎めなかった。