Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 明日は全県模試で授業をする必要がないので、今日は比較的気持ちに余裕がある。久しぶりにゆっくり夕食でも…と、二人でイタリアンレストランへ出かけたのだ。



「すごくブルーなため息だねー。」


 澄子は心配そうに、みのりの様子を窺っている。


「うん、全県模試の結果を想像して、何て言い訳しようか……って、考えてたの。」


「ううっ……、そのこと。」


 澄子も声を詰まらせた。そして、同じく深いため息を吐く。


「多分、国立理系や国立文系の子達がちゃんと結果は出してくれると思うけど。ウチのクラスの子達が足を引っ張らなきゃ…とは思うわねー。」

「そうだねー。」


 二人して再びため息を吐いた時、食後のカフェラテがやって来た。
 澄子が砂糖を溶かしながら、話題を変える。


「私てっきり、みのりさんも恋患いでブルーなのかと…」


 澄子はみのりと石原のことを知っている、数少ない人間の一人だ。石原と同じ英語科なので、石原の人柄についてもよく知っている。


「そりゃ、石原先生を恋しいとは思うけど、今以上どうしようもないんだから、そのことで今さらブルーになんてならないよ。」



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