Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
だけど、それだけは絶対に叶わない夢のようなものだ。
自分が生徒にこんな感情を抱いていると思うだけで、みのりの胸は罪悪感で砕け散りそうになる。それ以前に、遼太郎は自分をそんな対象として捉えてくれないだろう。
アパートの部屋に帰り、照明をつけた時、遼太郎が先日ここで、熱の高さを確認するため、額に手を当ててくれたことを思いだした。
その一瞬触れてくれた出来事を、みのりは何度も反芻する。
どうにもできない感情がのど元から溢れてきて、苦しさのあまり口を開けると、嗚咽となった。堪えきれずに、涙がこぼれる。
どうしたら、この苦しさから解放されるのだろう。遼太郎が卒業して近くにいなくなれば、少しは和らぐのだろうか?
それでも、少しでも会えないと、会いたくて会いたくてたまらなくて、その切なさでいっそう苦しい。
「…狩野くん…。」
恋しさのあまり名前を呼ぶと、涙が溢れて止まらなくなった。顎が震えて、嗚咽も激しくなる。