Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 今度は、二俣の方が目を剥いて真っ赤になる。


「えっ…?!遼ちゃん、俺の知らないところで、みのりちゃんともうそんな関係になってたのかよ…!」

「そんな関係って…。違うよ、あれは事故みたいなもんで。」


 二俣の過剰な反応に、遼太郎の方も焦って弁解した。


「文化祭の時に、1年の迷路で先生が泣いたって言ってたことがあったろ?」

「うん、ああ。俺のせいにされたっけ。」


「あの時、迷路の中で、俺が先生をいきなり抱き締めて驚かせたんだ。」


 その衝撃の事実を明かされて、二俣は口を開けて絶句した。

 しかもその時、もっと衝撃的な事実である胸まで触ってしまったことは、遼太郎は口が裂けても言えなかった。

 あの時の胸の感触が、遼太郎の右手に甦ってくる。それを思い出すだけで、遼太郎の胸は甘酸っぱく絞られた。


「あの時のことは、ふっくんには、悪かったと思ってるよ。」


 遼太郎からそう明かされても、随分前の過ぎたことなので、二俣は怒る気にもなれなかった。けれども、ちょっと意地悪そうに、遼太郎を見遣った。


「でも、俺は仮卒の日のことは否定はしないぜ。みのりちゃんのことが大好きなのは、本心だからな。」


 開き直りとも取れる二俣の宣言に、遼太郎は少し気圧されてしまった。その顔を見ると、二俣の言っていることが本気だということが分かる。


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