Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
遼太郎のこの一言は、ゆっくりとみのりの中に染み透り、心を覆っていた氷が、一気に融けて流れ出す。
みのりは何も応えられず、遼太郎が見つめるみのりの大きな瞳は、みるみる潤んで、涙が湛(たた)えきれずに零れ落ちた。
その刹那の儚い美しさと、その涙の意味を解しかねて、遼太郎の心は張りつめた。
次から次に頬を伝うみのりの涙を見つめながら、遼太郎はみのりの答えを待った。
しかし、みのりが唇を引き結び、その表情に苦悩の気色が加わると、遼太郎の中には不安が渦巻き始める。
「…先生の気持ちを聞かせて下さい。」
不安に駆られ待ちきれずに、遼太郎はみのりを促した。
戸惑いを宿すみのりの双眸は、涙に揺れながら遼太郎を捉える。
「……私、この気持ちは誰にも言わないって、決めてるの…。お墓に入るまで、誰にも言わないって…。」
みのりは再び唇を噛み、緩く首を左右に振る。
けれども、遼太郎は聞かねばならなかった。
そうでなければ、前にも進めないし後にも引けない。自分のことを生徒以上には思えないのならば、はっきりそう言ってほしかったし、言えない理由などないと思った。