地上182センチメートルを、キミと。








-------------------推薦入試を翌日に控えたお昼休み







今日も大志くんと視聴覚室にてお弁当。








「ハイ、小春ちゃん」







大志くんに、小さな白い紙袋を渡された。







中には、赤くて可愛い『合格祈願』の御守りが入っていた。






「ありがとう!! 明日、がんばるね!!」






正直ソワソワしていた。






担任には『心配ない』と言われていたが、やっぱり緊張する。






でも、明日はこの御守りを握り締めて頑張ろう。






「香川さんの分も買ったんだけど、小春ちゃん、渡してくれる?? 香川さん、全然視聴覚室来なくなっちゃったから。 つか、香川さんってドコの大学狙ってんの??」







大志くんが『香川さんは青ねー』と言いながら、ワタシのお弁当の横に御守りを置いた。







ワタシからじゃなくて、買った本人から手渡された方が喜ぶだろうに、大志くんにその気はないらしい。







「この前香川くんに『志望大学ドコ??』って聞いたら『落ちたら恥ずかしいから言わない。 金輪際聞かないで』って言われてさー」






香川くんは、行きたい大学を教えてくれなかった。







口止めされているのか、本当に知らないのか分からないが、繭に聞いても教えてもらえなくて。







香川くんの目指す大学はドコなんだろう。







県外かな。 遠いトコなのかな。







もう、会えなくなるのかな。








「………………ふーん」







大志くんは、さほど気にならない様で、その後アッサリ話題を変えて、元気良くお弁当を食べた。
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