出会い系ランニング
俺は衝撃的だった今日の事を、智に話した。
「なんだ、フラれたかと思ったのに」
智はまるで俺がフラれてたら良かったかのように残念そうに言った。
でもお陰でシリアスな気分がちょっと抜けた。
「何だよそれ。俺がこんなにショックだったのに薄情者〜!」
智は肩をすくめて眼鏡を押し上げた。
しばらく沈黙が続いて、智はタバコに火をつけた。
「そういや、ともちん何しに来たんだった?」
智はフーッと大きく煙を吐き出した。
「別に。顔見にさ」
変な奴。まぁ、お互い用事がなくても一緒に居るのはいつもの事か。
なんていうか、居心地いいんだよな。
きっと智もそう思ってる。
同じ部屋に居てそれぞれ違う事してても、お互い黙っていても、気まずく無い関係だ。
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