出会い系ランニング

4

どうやって家に帰ったか憶えていない。
いや、歩いてか走ってだろうけど、気が付いたら家に着いていた。
お風呂に入って身体は温まったけれど、夕飯は食欲が全くなくて食べられなかった。
母親に心配されながら、力無く2階の部屋に閉じこもって布団を被っていると、下から智の声がした。
「こんばんはー。賢士くんいますか?」
「あら、とも君、賢ちゃんなんだか元気ないのよ。何か聞いてる?」
「いえ‥」
「部屋にいるから聞いてみてくれる?食べれる物あったら持って行くから」
「わかりました」
智が部屋に入って来て、布団の横に座ったのが気配でわかった。
「で、どうした?」
すっかり聞く態勢の智の声に、俺は布団からガバッと起き上がってすがりついた。
「ともちんー!心の友よ」
「はいはい」
ジャイアン風に言ったのを軽くあしらわれて、俺は布団に正座した。
「彼女の事?」
「な、なんでわかるの?」
「まぁ、だいたいな」
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