ヴァージン=ロード

「こんなことって……」


 うかつだった。
 今までならこんな報道なんて気にしなかったけど、今は良にとって大事な時期だ。

 私だけだったらいい、無視すればいいだけだ。そうすれば人のうわさなんて勝手にほとぼりがさめるんだ。
 良だけでも、きっとなんでもなかったはずだ。

 でも、良には彼女がいるんだ。
 あの報道を見て、その彼女がどう思うか。


「あの良ちゃんが、結婚ねぇ……。でも、そうだとしたらこれはまずいわねぇ」
「だからさっきからそう言っているじゃない!」
「言ってないわよ。あんた、間抜けな顔してただけじゃない」

 コータさんが私のおでこを叩いた。

「いたっ」
「ほら、あわてている場合じゃないわよ、お仕事の時間よ」

 そう言って、コータさんはテレビの電源を落とした。
 時計を見れば確かに仕事の時間だ。

「さあさ、今日も綺麗なISAKIを作らせなさいよ」
「……わかった」

 私は荷物を片付けて、すぐに立ち上がった。









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