ヴァージン=ロード

 パーティ会場に入ると、煌びやかに着飾ったモデル達や芸能人、そして著名人達がいた。さすが、愛好者の多いドリノンのパーティだ。そういえば、あのファッションショーの関係者は相当数いたし、大掛かりだった。
 立食式で、会場の前よりに壇上があった。壇上の裏にはレッドカーペットの敷かれた階段があって、2階はバルコニーになっている。

「よお、ISAKI」

 後ろから声をかけられ、肩をたたかれた。振り返れば、モデル仲間の良がいた。ヒールをはいた私よりも頭一つ分背が高い、見栄えのいい男だ。

「あら、良じゃない。来てたんだ」
「そら来るよ。俺だってあのショー出てたんだから」

 黒い髪を撫でつけて、パーティ用のタキシードを身に着けている。それがまたかっこいい。

「今日は一段とかっこいいじゃない」
「いつもだろ」

 同じ事務所で、同い年、そしてこの業界に入った時期も重なる私達は、とても仲がいい。といっても、付き合っているわけではない。そもそも良には彼女がいて、私も会った事があるのだ。

「ほれ、エスコートさせろや」
「あら、イケメンね」

 良が自然に左腕を差し出す。私は笑って右手を絡ませた。人ごみの中を慣れたように歩く良に、私は身を任せる。
 こんなに楽なことはない。
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