ヴァージン=ロード
「はじめまして?」
「ISAKIさんだよね、僕は白木宗広。よろしく」
そう言いながら、彼は右手のシャンパンを差し出してきた。白木宗広、どこかで聞いたことのある名前だと思いながら私は差し出されたシャンパンを受け取る。
「よろしくお願いします」
しかし、あのファッションショーにこんな人いただろうか。乾杯を交わしてシャンパングラスに口を付けながら考える。
たぶん、以前に会った事がないというのは、白木さんから名乗っていることで証明できていると思う。確かに、知らない人に声をかけられることは珍しくないけれど。
でも、そうだとしたら彼の名前はどこで聞いたんだろう。
「今日のドレス、とっても素敵ですね」
「ありがとうございます。白木さんも、そのスーツとても素敵です。ところで、白木さんはドリノンのファッションショーの関係者の方ですか?」
考えても結局わからなかったので、直接訊いてみることにした。
「ああ、あのファッションショーには直接関係していないんだけどね。建築デザイナーをしているんだ。プロデューサーをした白木宗孝は兄でね。今日は縁あってこの場に呼んでもらったんだ」
名前を聞いて、納得した。あのプロデューサーさんの兄弟か。