ヴァージン=ロード
いつも心の中で燻っている炎が、フラッシュにあてられるこの瞬間に燃え上がる。
熱中、人はその状態のことをそう呼ぶのかもしれない。燃え上がっている炎の中にいるこの状態は、確かに熱中と呼べるかもしれない。
燃え上がっていた炎が落ち着いてきて、やっと私は大きく息をついた。
「お、ISAKI、おかえり」
「ただいま」
他のスタッフ同様、待っていてくれた顔見知りのカメラマンが笑顔で私に声をかけてくる。私も笑顔を返した。
「自分がメインモードのお前撮ってると、こっちが飲み込まれそうになるよ。なあ、今晩空いてねぇの?」
「え?」
カメラマン――田島充がにっこりほほ笑む。その左手の薬指には、シルバーのリングが光っている。
「ちょっと、田島さん、奥さんに怒られるよ」
私の言葉に、田島さんが小さく口笛を吹いた。
「おーおー、ISAKIは堅いなぁ。予定を訊いただけだろう?」
「予定が空いていたらどうする気だったの?」
「そりゃあ、もちろんデートに誘ったさ」
けろっと言う田島さんに、私は笑った。
「ほら、やっぱり駄目じゃない」
「そっか。ところで、今日はスタジオに見慣れないやつがいるな?」
田島さんがそう言って視線を一点に向けた。その視線につられてそちらを見ると、確かにスタジオに見慣れない一団がいた。
何やら、真剣な顔をして相談しているようだ。