ヴァージン=ロード
風を切るかのようなシャッター音に、肌が焼けるかと錯覚するかのようなフラッシュの熱気。
カメラ目線で、体をひねらせ、私は自分の精一杯の魅力を見せつける。
半開きにした濡れた唇、そこから覗く白い歯、細めた瞳――私は、自分を魅せる方法を知っている。
今日はうちのスタジオFlowerGardenの特集の撮影で、モデル達が勢ぞろいで中世がモチーフ衣装を着て撮影している。
目を黒のラインで縁取り、左目の横を白い羽で飾り付け、黒い髪を濡れたように煌めかせている。黒のドレスと銀の鎧を身に纏っている。
私は乙女だ。戦う乙女だ。
聖なる戦いに身を投じたジャンヌ=ダルク。
スタジオという戦場で、フラッシュという炎と、私は戦っている。
そんな錯覚を覚えるほど、私は入り込んでいた。
「はいっ、おっけー! ISAKI、今日も完璧だった!」
カメラマンの声にも、私はしばらくこちらの世界に帰ってこれない。
「ISAKI、また入ってるな」
遠くに、カメラマンの笑い声が聞こえるけれど、私の心がついていかない。
モデルのISAKIを撮影する仕事の時、たまにこうなってしまう。自分を魅せることに夢中になり、ハイになってしまうのだ。
もっとも、他のスタッフ達は私がこの状態になることを知っているので、慌てる様子はない。私が戻ってくるのを、しばらく待っていてくれる。