ヴァージン=ロード
「でも……撮影するにも広すぎて、全部回れそうにもないわね……もったいない」
「そうですね。このラヴィンユ全体を見て回るだけで半日はかかるかもしれません」
確かにこの広さでは、撮影しながら回っていたら2日じゃ足りない。
「それじゃあ、決めでいくしかないですね」
「まあ、そこは伊咲の直感でいいと思うよ。何せ放浪する黒猫ちゃんなんだから」
そうだとしたら、歩いている時間ももったいない気がしてきた。
「それだったら、宗広さん、案内しながら良いところがあったら撮っちゃった方が良いと思う」
「それもそうね……じゃあ、伊咲、準備する?」
「あ、でもその前に!」
夢乃が今にも準備に入ろうとしたけれど、私はそれを止めてカノンさんのもとに向かう。
「着替えちゃう前に、アリスちゃん抱っこさせてくださいっ」
「あら、良いわよ」
カノンさんが笑顔で了承してくれ、私は泣き止んだアリスちゃんに笑顔で手を伸ばした。
「アリスちゃん、おいでー」
アリスちゃんは不思議そうに私の顔とカノンさんの顔を見ていたけど、私の方に両手を伸ばしてくれた。アリスちゃんを抱っこすると、子供特有の甘い匂いがして、何とも言えないくらい幸せな気分になる。