ヴァージン=ロード

「それは……良かった」
「ありがとう」

 本当にお礼を言いたかった。

「本当に、ありがとう」
「伊咲さんの力になれたなら、本当に嬉しい」

 宗広さんがそっと、私の手に触れた。とたん、私の心臓が反応する。

「僕は、君が気になって仕方ない」
「……宗広さん」
「君にもっと近づきたいって思っている」

 ストレートな言葉に、私は驚く。

「けれど、君が遠くて近づけないんだ……」
「それは、どういう……?」

 私が、遠い? こんなに近くにいるのに……。

 宗広さんが苦笑して首を横に振った。

「いや、ごめん気にしないで……」

 宗広さんが、寂しそうな顔で笑う。

 その表情の意味が、私にはわからなかった。


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