まだ知らない愛。
素直
―…私は静かに目を開けた。
「全部私が悪いの」
振り返ると瞬さんの瞳は揺れていた。
怒りと哀しみが混ざった顔をして私を見つめている。
その瞳は泣いているように見えた。
「こんな私が瞬さんの傍に居ていいわけない」
そう、私なんかが居たら迷惑をかけてしまう。
もう瞬さんたちとは関わっちゃダメ。
悲しくなんかない。一人は慣れてる。
もう誰かを苦しめて傷つけるのも傷つくのも嫌だ。
少し前の生活に戻るだけだから…
服を着て立ち上がった。
顔を伏せている瞬さんは何も言わない。
それでいい。何も言わないで。
初めて誰かに話した過去を同情なんてされたくない。
私は静かに別れを告げた。
「さようなら」