まだ知らない愛。
そーっと目を開けると
そこは異様な世界だった。

なんで…こんなに人がいるのに
わたし達の周りには人がいないの…?


こんなに人混みなのに歩けてる…。


すれ違う人たちの顔を見ると
少し恐怖が混じった様な顔をしていた。


なんとなく隣で歩く瞬さんを見た。

「ひっ…」
私の声にならない悲鳴が小さく響いた。
「どうした?」
瞬さんは首をかしげて私の顔を覗き込む。
「いえ…なんでもないです」
そりゃ悲鳴もあげるよ…。


わたし達の周りに空間があることに納得できた。
だって瞬さんからは人を寄せ付けない
威圧的なオーラが出ていたから。


口に出さなくても伝わる恐怖だ…。
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