まだ知らない愛。
告白

泣き続ける私を瞬さんはずっと抱き締めて
私の頭を撫でてくれていた。
規則的なリズムでその手はまるで
「もっと泣けばいい」
と言っているようだった。


こんなにも人の温もりに触れたことはない。
こんなにも優しい人に出会ったことがない。
こんな私を必要としてくれる瞬さんから
離れたくないと思った。


「瞬さん、ごめんなさい」
泣きやんだ私は瞬さんの胸から顔を上げて
謝った。
「落ち着いたか?」
「…はい」
「お前は溜め込みすぎなんだよ」
「…」
「桜」
「…はい」
「もう一度言う」
綺麗な手が私の頬に触れて少し上に向かせた。
私を見つめる漆黒の瞳。
私の大好きな自信に満ち溢れている瞳。
「俺の女になれ」

こんなにも完璧で優しい人が俺の女になれと言ってくれる。
モテないわけがない瞬さん。
さっき見た綾芽という人からの着信。
このまま瞬さんと付き合ってしまったら
私はきっと離れられない。
「瞬さん」
「ん?」
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