生涯の人… 〜Dearest〜
「今から俺ね……めちゃくちゃずるい事言うから……。独り言だと思って聞いて……」
ぽつりと遥が呟いた。
耳を澄ますと遥のドキドキの音が聞こえる。
「…遥……?」
「俺………杏奈のバカな所とか…友達の為に泣ける所とか。……いつも必死になってくれる所とか…優しい所…諦めない所……………すげぇ……好きだよ……」
“好き”
この言葉を聞くのに何年かかっただろう…。
ずっと願ってた想いに辿り着くのに…どれだけの月日が流れたかな。
「ってか…ごめん……今更遅いのわかってる…」
指先にぐって力が入った。
遥の抱きしめる力が喉の奥まで締め付ける。
どうしよう……。
涙が止まらない。
だって…我慢なんて出来ない。
溢れ出した感情は言葉にならなくて。
水滴となって零れ落ちた。
嘘でもいい……。
その場限りの言葉だったとしても構わないよ…。
ずっと遥に想われたかった。
「…遥………杏奈ね……ック…ヒック……ずっと…忘れられなくて苦しかった……」
好きで、好きで……。
こんなにも気持ちって消えないのかな?って思った。
やっと遥が還奈ちゃんを想う気持ちがわかっちゃった……。
好きな想いは消せない。
どうやったって……
消せないよ。