生涯の人… 〜Dearest〜

終了式が終わってぞろぞろとクラスに人が集まってきた。

今日の夜はどこのクラスもお別れ会と称した飲み会で、もちろん杏奈達のクラスでも…



「みんな集合ー!!
はいっ、今日の夜お疲れ会やるからねー!!8時に駅前集合でお願いしまーす!
ちなみに強制参加だから欠席なしで。」



教卓前であかりが叫んでる。
こういう時あかりは1番に動いてくれるんだ。
すっごい頼りになって皆に慕われるリーダー的存在。

強制参加って言わなくても絶対に欠席者なんていないと思うよ。

だって…、団結の強さで言ったら学年1。
杏奈達に敵うクラスなんてないと思ってるから。













「とりあえずさ、決まった事だから受け入れるしかないよぉ。」


学校を後にしてからいつものファーストフードで時間潰しをしてた。

皆とクラスが離れた事がショックで…いつまでも暗い顔する杏奈を詩衣が励ましてくれる。


「だってさ、本当に杏奈だけ誰とも一緒になれなかった。皆誰かしら一緒のクラスなのに。杏奈だけ…うぅっ…。」


ストローのごみを指で丸めながら口を尖らせた。

ぐにゃぐにゃになった紙を見つめて下唇を出した杏奈に…



「アンー、元気だすだよ。凪も隣だし離れる事なんてないだから…ねっ。」

凪が隣の席に来て杏奈の頭を大袈裟に撫でた。

よーしよしとか言いながら、人の頭だと思って…。



こんなふうに笑ってるけど…杏奈のわがままだし独占欲が強いのはわかってるんだ。
凪と離れるのが辛いって事…。


きっとね、凪の新しい友達に嫉妬しちゃうよ。

杏奈だって違う友達が出来て輪が広がると思う。


凪は…本当に良い子だし人を引き付ける魅力があるから、今まで以上に友達が増える。


なんかね、凪を取られちゃうみたいで寂しいんだ。

離れてっちゃうみたいで寂しいよ。






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