同居相手は黒猫くん




——キーンコーンカーンコーン……——



チャイムが鳴り、私はハッと目を覚ました。



私、座ったまま寝ちゃってた……。



ちらっと隣の刹に目を向けると、まだ起きてない様子。



そうだ。

刹ってなかなか起きないんだった。





「刹ー」





もう容赦なしに大きく肩を揺らすと、今回はすぐに目を覚ましてくれた。







「…あれ…」





刹は寝呆け目で私を見つめる。






「ひの…?」


「うん。……もうなんかめんどくさくて、戻らなかった」






刹から目線を逸らしながら言う。


うん。

嘘ではない!







「……ふーん」






刹はそう言って、大きく欠伸をする。






「たい焼きってさ」







……はい?





「この近く売ってる?」


「え…………あ、うん」






慣れなきゃ。


刹の突飛な行動や言動は今に始まったことじゃない。



慣れなきゃ。





「さっき夢に出て来てさー食いたくなったね」


「呑気な夢だね…」


「帰り食いに連れてけよ」


「え!?」






驚いた私をよそに、刹は夢の如く呑気に口笛なんて吹いている。




まあ……もういいや。


なんとなくそうなるだろうとは思った。




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