俺のこと、好きになってみよ?
しばらく九條さんと話していると、もう仕事に戻らなきゃいけない時間みたいで。
前みたいに唇を尖らせている23歳の大人。
「やーだーもうちょっと彩葉ちゃん見てたいのに!」
「はいはい、オーナーさんなんですから行きましょう」
ていうか、早く行きなはれ。
「わかったよー戻るよーそんなに彩葉ちゃんが言うなら」
「はい、いってらっしゃい」
私がそういうと、九條さんの顔がパァッと明るくなった。
「い、彩葉ちゃんから初めていってらっしゃいって言われた…!」
「浮かれてないで早く行ってください」
ニコニコ笑って嬉しそうに、店のドアに手をかけてやっと仕事へ戻る九條さん。
出て行くのかと思えば、くるりと振り返って
「彩葉ちゃん」
「……なんですか」
「好きだよ」
「……っ」
そんなことをサラリと言って、九條さんは今度こそ店を出た。