俺のこと、好きになってみよ?







しばらく九條さんと話していると、もう仕事に戻らなきゃいけない時間みたいで。



前みたいに唇を尖らせている23歳の大人。



「やーだーもうちょっと彩葉ちゃん見てたいのに!」


「はいはい、オーナーさんなんですから行きましょう」



ていうか、早く行きなはれ。



「わかったよー戻るよーそんなに彩葉ちゃんが言うなら」


「はい、いってらっしゃい」



私がそういうと、九條さんの顔がパァッと明るくなった。




「い、彩葉ちゃんから初めていってらっしゃいって言われた…!」


「浮かれてないで早く行ってください」




ニコニコ笑って嬉しそうに、店のドアに手をかけてやっと仕事へ戻る九條さん。



出て行くのかと思えば、くるりと振り返って



「彩葉ちゃん」


「……なんですか」


「好きだよ」



「……っ」



そんなことをサラリと言って、九條さんは今度こそ店を出た。







< 34 / 85 >

この作品をシェア

pagetop