Polaris
母親も百合子ママも夜の人間だったから、一度も見に行ったことがなかった。


そのうち、あたしもお店の手伝いをし出して、夜の人間なった。


だから、見てみたいと思った。


それに普通の子達がしていることをしてみたいって。


もう少しすれば、あたしも夜の人間じゃなくなる。


そしたら、なれるのかな?


普通の、何処にでも居そうな女の子に。


「おい」


部屋の方から、呼ばれる。


振り返ると、隼人は出かける準備を済ませていた。


でも、今日はスーツじゃない。


「何」

「行くぞ」

「何処に」


主語のない隼人の言葉が、よくわからない。

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