Polaris
でも、その声の主は「隼人」と、何度も隼人の名前を口にした。


呼ばないで、、、。


気付かないで、、、。


そう、願った。


「隼人ってば」


息を乱した、女性が隼人の腕を掴んだ。


隼人は彼女の顔を見て、スッとあたしの手を離したんだ。


だから、彼女誰なのかなんとなくわかったんだ。


きっと、彼女は、、、。


「恵美」


やっぱりって、思った。


「恵美」と呼ぶ、隼人はあたしが知らない隼人だった。


行き場のなくした、自分の手が震えた気がした。


「何度も、隼人のこと呼んだんだよ」


そう言う、恵美さんは綺麗な笑顔を隼人に向けた。


2人の間に流れる空気が、あたしを「邪魔」だと言っているようだった。

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