Polaris
「ミライ」


そう、男の人が言った。


その言葉で、お店の中に居た人達があたしのことを見る。


「ミルクちゃんの為に来てくれたんですね」


あたしは、未来でもなく、瞬華でもないあたしになった。


「ミライからの頼みだからな」

「ありがとうございます」


あたしは軽く頭を下げた。


「すいません。今日ミライは客なので」


翔はそう言うと、あたしの腕を引いた。


「大西様」


そこへ、溝口店長がやってくる。


大西は父親の名前。


そして会社を継いだ、今の翔の名前でもある。


「あの人は」

「桜子さんはまだ。お店で待ちになりますか」

「あぁ」


そう言うと、溝口店長があたし達のことを、席まで案内してくれた。

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