可愛い彼にはご注意を!

気付かない思い





柚亜side



「はぁ…。」



私は目の前のお弁当を見ながら溜息をついた。



「さっきから何度目の溜息よ、柚亜。」



向かい合ってお昼ご飯を食べていた沙希に言われて沙希を見るとやれやれといった感じの顔をしていた。



「あ、ごめんね沙希。」

「別にいいけど…それで、何かあったの?」

「え?別に何もないけど…。」

「その言葉、今までの溜息を思い出しながら言える?」



沙希に鋭くそう言われると私は言葉に詰まった。


何も無かったとは言えない。

莉那ちゃんが来てからというもの私の生活は全て狂いっぱなしだ。


莉那ちゃんは私と蓮の間をここぞとばかりに邪魔をしてくる。


最初は可愛い仕返しかなと思って見ていたがそれが、何日か続くとそれも見てはいられなくなった。

蓮も蓮で莉那ちゃんには甘く最近は私と二人で過ごすより莉那ちゃんと過ごす方が圧倒的に多いと思う。


会社から帰って来たら必ず莉那ちゃんがいてそして蓮もいる。


二人仲良く喋っていたり莉那ちゃんが蓮に触ると触らないでほしいとまで思ってしまう。

いつから、私はこんなに独占欲が激しくなったんだろう…。


そもそも、蓮との結婚だって嫌だったはずなのに…。


分らない気持ちが生まれてきてこうして考えて更に分らなくなっての繰り返しだ。




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